コンサルへの転職を検討されており、対策をお探しの方向けへの記事になっています。
今回は、コンサルへの転職において、避けては通れないケース面接についてお話しします。これができないことには始まらないのではと言っても過言ではないぐらい、いずれのコンサルティングファームでも実施されています。
また、対策をして面接に臨むことが当たり前になったことで、ケース面接をすると言わずに、普通の面接形式でケース面接がしれっと始まるようなこともあり、対策をせずに挑むということは考えられません。
本記事は、ケース面接の基本となるフェルミ推定から対策について、私が実際にやっていた対策や経験も踏まえて、紹介していきます。
コンサルへの転職を希望していない方も、フェルミ推定やケース面接については、ロジカルシンキングのトレーニングとして面白いので、読んでみて損はないと考えています。
では、早速内容に入っていきましょう。
ケース面接の対策の前に、フェルミ推定とケース面接とは?
コンサルティングファームへの転職を考えて、初めてフェルミ推定やケース面接を知ったという方も多いと思いますので、まずどういったものなのかについてお話します。
フェルミ推定
実際に調査することが難しい数量を論理的に概算することです。これはフェルミという物理学者が、爆弾の実験中に離れた場所で紙切れを落として、それが飛ばされた距離から爆弾の威力を推定したことが有名な話で、その人の由来によりフェルミ推定と呼ばれています。
面接の場ではどのように活用されているかというと、以下の例題のようなものを質問し、対象者の論理的思考力を図ることを目的に使用されています。この中には、実際に聞かれたものも含まれています。
- 日本に立っている電信柱は何本?
- 都内のマンホールの数は何個?
- 東京駅でのタクシーの利用者数は?
- 向かいのビルに使用されているコンクリートの重さは?
普通に聞かれると、「えっ?」となるようなものばかりで、フェルミ推定を意識していないことには、対応することは難しいと思います。
しっかりと考え方を学ぶことで、スムーズに解くことができるようになります。
また、あくまで概算することが目的であり、推計された数値にはあまり執着する必要はありません(明らかに外れた数値には問題ありますが)。
例題の1つ目については、後ほど紹介するので、読み飛ばさず、5分程度で一度解いてみてください。
ケース面接
ケース面接は、フェルミ推定の応用となったもので、よりビジネスに寄せたものと考えていただければと思います。フェルミ推定によってモデル*を立てたものから、ビジネスの課題を解決するというように、フェルミ推定とケース面接はどちらの対策も必要となります。
*モデルについては、後述します。
では、例題としては、以下のようなものが挙げられます。
- あるクリーニング屋の売上を3倍にする方法を考えてください。
- 近所に大型スーパーができ、商店街の売上が下がっています。改善策を考えてください。
- あおり運転をなくすための対策を考えてください。
- 優秀な人材を採用するために、どのような対応が有効か考えてください。
上2つのように、売上などの拡大や減少のようなビジネスに関することから、社会問題についてなど様々なテーマがあり、本人のバックグラウンドに沿った内容で出されるケースも多いです。
製薬会社に務めていたということであれば、
「〇〇という薬剤を導入しようと考えているが、導入についてどう考えるか」
のように聞かれることもある(実際に友人であった)ので、準備をしていないと答えるのは容易でないです。
ケース面接を採用している企業
ケース面接を採用している企業として、筆頭に挙がるのは、コンサルティング会社です。コンサルティングファームの面接といえば、ケース面接が当たり前というようなぐらい浸透しています。
コンサルティングファームに入社するために、ベースとして必要なスキルにロジカルシンキング(論理的思考)があるため、それを測るためにケース面接を実施しているということですね。
コンサルティングファーム以外で、MRから転職先として多い会社でいうと、エムスリーとかエムスリーマーケティングでケース面接を採用しています。これは、エムスリーの立ち上げメンバーがコンサル出身(マッキンゼー)であり、ロジカルシンキングを重要視しているからだと思われます。
フェルミ推計とケース面接の対策・解き方
対策についてですが、先ほど挙げたような問題を繰り返し繰り返し実施しながら、思考パターンを体に身に着けていくことが重要になります。
では、どのように考えていくのか、基本となるフェルミ推定の例題を用いて解説していきます。
日本に立っている電信柱の数は?
フェルミ推定の基本の考え方は、下記のとおりです。
- 仮説を立てる
- モデルを作る
- 値を自分が想定できる数量まで落とす
- モデルを解く
例題を用いて順番に説明していきます。
1.仮説を立てる
まず、日本の電信柱がどういったところにあり、どいうところに集中しているかなど仮説を立てます。電信柱は、送電を目的としているため、人口が密集しているところ(都会)で多く、人口が密集していないところ(田舎)では少ないですね。
それを踏まえて、都会では50㎡に1本ぐらいで、田舎では3倍ぐらい距離があり150㎡に1本ぐらいと仮定します。都会と田舎の構成比は1:9ぐらいです。
上記より、面積当たりの本数と都会・田舎の本数で概算できると仮説が立てられます。
2.モデルを作る
仮説を元にモデルを作成していきますが、推計したい数量を因数分解していくようなモデルになることが多いです。
今回であれば、このようなモデルができます。
日本の電信柱の本数 = 都会の本数 + 田舎の本数
3.値を自分が想定できる数量まで落とす
順番が前後しましたが、どれだけの電信柱があるのか推定するには、ある程度の確度で判断できる自分の周囲で想定できる具体的な数量までレベルを落としていきます。
この際に、ここの想定が概算になり過ぎると、最終的に概算する日本の電信柱の本数が、概算の概算になるため、どんどん離れた数値となってしまうため注意が必要です。自分が想定できる数量まで落とすことは、推計にも根拠を説明する要素としても重要なポイントです。
- 都会では50㎡に1本ぐらい
- 田舎では3倍ぐらい距離があり150㎡に1本ぐらい
4.モデルを解く
都会の本数 = 日本の面積(K㎡) × 1K㎡あたりの電信柱の数 × 都会の割合
田舎の本数 = 日本の面積(K㎡) × 1K㎡あたりの電信柱の数 × 田舎の割合
都会の本数
= 日本の面積約380,000K㎡ × 都会400本/1K㎡ × 0.1% = 15,200,000本
田舎の本数
= 日本の面積約380,000K㎡ × 田舎44本/1K㎡ × 0.9% = 15,048,000本
日本の電信柱の本数
= 15,200,000 + 15,048,000 =30,148,000本
というように概算ができました。途中日本の面積が出てきましたが、ある程度の基礎情報は、練習をしつつ覚えていきましょう。
(日本の総人口、東京の人口、日本の面積等)
モデルについては、あくまで一例であり、様々なアプローチがあります。いずれも正解があるということではなく、仮説やモデルに抜けもれ(MECE)がないか、論理的に筋が通っているかが重要となります。
また、モデルの立て方がケース面接の目的によって、最適なモデルを選択することが重要となっていきます。
ケース面接はモデルのクリティカルな要素から打ち手を考える
ケース面接においては、「売上を増やす方法は?」や「いじめを減らす方法は?」みたいな打ち手を求められることが多いですが、いずれにおいてもフェルミ推定の考え方をベースとして進めることができます。
例えば、例題にあった下記がお題であった場合、フェルミ推定と同様に売上を構成する要素を抜けもれなく、仮説を立てていきます。
例題から考えてみましょう。
あるクリーニング屋の売上を3倍にする方法を考えてください。
クリーニング屋の売上を構成するのは、ざっくり下記の2つです。
客数は、クリーニング屋を利用できるエリア内の住民と客層(店舗利用可能な層:年代、世帯状況、職業状況等)と時間帯(営業時間:午前、午後、夕方)によって、客単価は、クリーニングの品数(持ち込み数)と種類(シャツ、スーツ、着物、布団等)の掛け合わせで概算できそうです。
また、客数や客単価に影響する要素として、1ヶ月の売上と仮定した場合には、季節性や天気といったところも影響してくるため、それもざっくり晴れと雨の割合を係数として入れておいても良いかもしれません。
というような項目を仮説検討し、モデルを作っていきます。
モデルは客数×客単価で、そこからそれぞれを上記のようにブレイクダウンしていくことで、より売上に影響する要素を書き出していけるので、打ち手を考える際に論理的に要素を検討しており、アイデアベースのような回答にはなりません。
さらに、抜け漏れなく要素を出すことで、見落としていた影響のあるトリガーとなるものや、それぞれがどの程度売上に影響しているかも、ある程度想定できるため、売上を3倍にするクリティカルな要素に打ち手を検討することができます。
解き方自体はわかってきたと思いますが、実際に評価されているのは結果(打ち手)ではありません(考え方の柔軟性を見られることはありますが)。
ケース面接で評価されるポイントは
打ち手自体が新たなサービスであり、とても優れたものであっても、アイデアベースであっては評価は高くありません。
ケース面接においては、打ち手を導き出した論理的に整理された思考経路と、テーマに合ったモデルを構築できていたかというところが重要になってきます。
実際に面接では、打ち手に対して、なぜそう思ったのかを繰り返し深堀りされ、論理的に考えられた打ち手かどうかを検証されます。
先程紹介したように要素をブレイクダウンしていく、ロジックツリーのように検討することで、抜け漏れなく論理的に検討することができます。
また、モデルについては、売上を検討するのにおいて、必要な要素がモデルに組み込まれているかも重要な要素となります。
極端に、客単価がすべてと決めつけて、客単価のみをあげるモデルであった場合は、客数はどうですか?といったように不足した点を指摘を受け、倫理的思考に抜けがあったと判断されてしまいます。
そのような抜け漏れがないモデルを作りには、論理的思考に加えて、仮説段階で、より顧客目線(クリーニング屋)で検討することができるかも、論理的思考に加えて重要なポイントと考えられます。
ケース面接の対策の具体的な方法
具体的な対策方法は、数問を時間をかけてロジックツリーでブレイクダウンしていくことです。本来は、決められた10〜15分や会話の中で行われることが多いですが、トレーニングとしては、思考に漏れがないように、書き出しながらロジックツリーを作っていくことが良いと思います。
数問は時間をかけて行い、論理的思考に慣れてきたと感じたら、一度時間を決めて取り組んでみるというのを繰り返して練習することで、だんだんと論理的に考える癖がついてきます。
私の場合は、これで抜け漏れなく考えられているか不安だったので、例題とその解き方がまとめてある書籍を使って、練習をしていました。解き方には正解はないものの、周りに抜け漏れを指摘してくれる人もいなかったため、解き方が乗っていることで、自分に抜けている要素等を確認することができました。
参考に使用した書籍を紹介します。私はいずれもKindleで購入し、朝2問してから仕事に行き、仕事が終わってから振り返るというような使い方をしていました。
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実際に外資系コンサルティングファームで出された問題を使って、戦略系コンサルタントの模範解答例を段階的に解説してくれています。前半にフェルミ推定系の問題10問と後半にビジネス系ケース10問があるため、しっかりと学ぶことができます。
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これはフェルミ推定に特化しており、東大生が1000問を解いてわかった「パターン」や「解法ステップ」を詳しく説明してくれています。計30問で、例題15問と練習問題15問が交互に入っており、例題と同じパターンで解ける問題が次に来ているため、パターンを身に着けるのに向いています。
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一つ前の書籍と同じシリーズで、具体的にケース問題に当てはまるパターンを掲載しており、それを丁寧に解説しているため、こちらもパターン化することで、どのような問題であってもスムーズに解けるようになります。
また、実際の面接経験から、面接の流れに沿ってケース面接を紹介してくれているので、具体的にイメージすることができるため、その点もおすすめです。
上記に加えて、例題9問とそれに対応した練習問題9問が入っています(いずれも解説付き)。
終わりに
コンサルティングファームへの転職はハードルが高く、対策にも多くの時間をかけなければならなく、心折れそうなこともあるかもしれませんが、年収や自己成長、キャリアの自己価値が高まることなど、投資に対して得られることは非常に多くあります。
ぜひ、コンサルティングファームへの転職を成功させ、自身のキャリアを発展させてください。
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