元MRの転職考察

MRから他業種(マーケティング関連)に転職を成功させた経験から、転職活動に役立つ情報を中心に発信しています。

MR早期退職の各社の状況と転職市場への影響-【まとめ】

昨今製薬企業におけるMRの大型の早期退職を募るというニュースが業界をざわつかせておりましたが、その現状をまとめることにしました。

というのも、MRの早期退職者が転職市場に流れ込んだ際に、私がMRの転職のタイミングとして推奨している20代〜30代初めの方へどの程度影響しているのかが気になったためです。

MRからの転職を悩んでいる方の参考にと、この記事を書いておりますので、何か一つでも得るものがあれば嬉しいです。

 

検討

 

MRの早期退職によるMR数の減少

MR認定センターより毎年、「MR白書」といったMRの実態についてまとめた資料が公開されています。2020年度版の情報を参考にまとめてみると、直近10年においてMR数がピークを示していたのは、2013年の65,752人でした。

そこから、6年をかけて毎年減少を続けていまして、2019年にはピーク時から約8500人減少しています。直近10年間において、最もMR数が減っている状況です。

総MR数の推移

これら背景には、薬価の引き下げや後発品普及の国の推進等、製薬会社の収益に対するネガティブな要素が多くあったことが影響していると思われます。

このような状況を見る限り、今後MRが増えていくということはあまり考えられないため、現MRへの負担は大きくなることが容易に想像がつきます。

では、実際の採用状況を見てみましょう。

 

新卒・中途のMRの採用状況

採用状況については、まず新卒者においては、2019年度に採用を実施した製薬会社は、42.5%で、最もMR数が多かった2013年度においては49.5%と、新卒採用においても実施している企業が減少していました

続いて、中途採用者では、2019年度に採用を実施した製薬会社は、65.0%で実施されており、同じく2013年度においては61.9%と、中途採用を実施している製薬会社が増えている状況が見られています。

いずれも採用の実施状況のみで、MRの採用人数までは詳細わからないですが、中途採用を実施している企業が増えていることから、転職市場に流れた優秀なMRを採用するという意向があると考えられます。

早期退職を募りつつも、優秀なMRを採用し、少数精鋭化されてきている(していく)ことが将来的にはなってくると言えると思われます。実際に、第一三共においては、MRの新卒採用を薬学卒(6年制)のみに絞るなど、実際の採用の場面においても影響が出てきています。

 

また、コントラクトMRの総数は、MRの総数が減っている状況にも関わらず、コントラクトMRの総数は減っていないことも面白い結果でした。

  • 2013年度(MR数のピーク年):3,957人
  • 2019年度:3,917人

コントラクトMRの総数を減らしていないのは、製薬会社側がMRの雇用数を減らし、必要であればコントラクトMRを使用するという形が、さらに増えていくという傾向を見越しての判断からかもしれません。

 

採用状況を見ると、より現所属MRには厳しい時代が近づいていることを匂わせるデータとなっていました。

 

MRの早期退職の各社の状況(MR以外も含む)

製薬会社

2017年〜2019年度に実施された早期退職のあった企業をまとめました(MR以外も含む。

アステラス製薬

  • 年度:2018年
  • 対象者:-
  • 対象年齢:-
  • 退職希望者数(募集枠):約700人(600人)
  • 退職金等:-

エーザイ

  • 年度:2019年
  • 対象者:勤続5年以上の社員
  • 対象年齢:45歳以上
  • 退職希望者数(募集枠):約300人(約100人)
  • 退職金等:割増退職金(平均2200万円)

協和キリン

  • 年度:2019年
  • 対象者:勤続5年以上の社員(生産本部に所属する社員を除く)
  • 対象年齢:45歳以上
  • 退職希望者数(募集枠):296人(定めず)
  • 退職金等:割増退職金(平均1700万円)、再就職支援

大正製薬

  • 年度:2018年
  • 対象者:勤続10年以上の社員
  • 対象年齢:40歳以上
  • 退職希望者数(募集枠):948人(定めず)
  • 退職金等:割増退職金(平均1300万円)、再就職支援

大日本住友製薬

  • 年度:2017年
  • 対象者:生産本部所属で、勤続5年以上の社員
  • 対象年齢:45歳以上
  • 退職希望者数(募集枠):86人(定めず)
  • 退職金等:特別退職金、再就職支援

武田薬品

  • 年度:2020年
  • 対象者:国内ビジネス部門の社員(主にMRや事務職などで、研究開発(R&D)や生産部門は含まない)
  • 対象年齢:30歳以上
  • 退職希望者数(募集枠):-(-)
  • 退職金等:-、再就職支援

中外製薬

  • 年度:2019年
  • 対象者:社員およびシニア社員
  • 対象年齢:45歳以上
  • 退職希望者数(募集枠):172人(定めず)
  • 退職金等:割増退職金(72ヶ月)、再就職支援

鳥居薬品

  • 年度:2020年
  • 対象者:コーポレート部門及び営業部門で勤続年数が満2年以上の社員、技術部門は勤続2年以上
  • 対象年齢:技術部門50歳以上、営業部門設定なし
  • 退職希望者数(募集枠):281人(-)
  • 退職金等:退職加算金、再就職支援

 

MRの早期退職による転職市場への影響

雲行き

上記のまとめの通り、ここ3年でかなりの人材が転職市場に流出していることがわかりますが、多くは年齢層が高く設定されているため、大型の早期退職による20代〜30代初めのMRの転職には大きく影響はないと考えられます。

一方で、こういった環境下により、将来性に不安を持ったMRが、転職を実施しているケースも多く見られるため、そういう面ではMRの転職市場の流出は多く、影響は大きいため、これからさらに市場環境が厳しくなる前の転職活動が良い言えると思います。

また、MRからMRへの転職においては、経験豊富なMRも転職市場にかなりの数が流入しているため、若手においては厳しい状況がうかがえますので、なるべく20代のうちに、他業種に転職を検討しておくべきです。

 

終わりに

データ上からもMR数が減少しており、さらに製薬会社を取り巻く環境もこれからより一層厳しくなることを想定すると、今後も定期的に早期退職を募ることは容易に想像がつきます。

自身が早期退職の対象者となった場合に、MR経験のみでの30代以上になってくると、他業種への転職は非常に厳しく、他社MRへの転職も狭き門です。

そうなる前に、転職を視野に入れて、情報収集することが重要ですので、一度転職サイトや転職エージェントに相談し、現状を把握しておいてはいかがでしょうか。

参考リンク

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