元MRの転職考察

MRから他業種(マーケティング関連)に転職を成功させた経験から、転職活動に役立つ情報を中心に発信しています。

MRの仕事について、包み隠さず話します。

製薬会社のホームページでいろいろ書いてあるけど「具体的にどんな仕事か?年収が高いというけど実際ってどうなの?転勤の頻度って多い?」
などの疑問に、元MRがお答えします。

 

 

 

私は新卒で製薬会社に入社し、6年間MRをしてきました。現在は転職し別の仕事をしています。

経験者として、より踏み込んだお話ができるかと思いますので、皆さんの疑問にも解決できるようにいろいろと紹介します。

 

 MRとは

MRと医師


MRとは、Medical Representative(メディカル リプレゼンタティブ)の略で、医薬情報担当者という意味です。自社製品及びそれに関連する周辺情報を適切に提供したり、情報の収集を担っています。

 

かっこよく言うと、

医療の専門家である医師に対して、薬については対等な立場でより良い治療の選択ができるように情報の提供を行い、チーム医療の一員として患者さんに貢献する。

 

平たく言えば、

製薬会社の営業担当者であり、自社製品を採用・処方してもらうために、薬剤の情報提供に加えて、先生の様々な要望を満たすために尽くす。

 

実際に、私がMRになるまでは、後者のイメージでした。皆さんのイメージはどうなんでしょうか。

ゴリゴリに接待をしたり、ゴルフしたり、ドロドロの営業職、、、をイメージしている方は多いように思います。

MRの経験から言うと、前者のようなチーム医療の一員として、というような一面は少なからずあります。希少疾病やがんの治療薬などに携わるMRではそういうケースも多く、非常にやりがいがありますよね。

 

一方で、後者のような働き方をしているMRは非常に多いと思います。

私がMRをしていた時も後者の働き方がほとんどで、接待やゴルフをかなりしていました。(価格の交渉ができないため、その部分は他の営業職よりはドロドロではないのかも)

 

「MRって、やっぱりドロドロの営業なんだな」と思った方、実は昨今、だいぶ事情が変わってきています。

  

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインの施行

このガイドラインが2019年4月から厚生労働省から施行されました。

ガイドラインについての詳細は、ググって確認してもらえればと思いますが、

要するに「適正な情報提供はこんなです」「他製品を誹謗中傷するような内容の情報提供はやめましょう」「極端な誤解を生むような表現はやめましょう」といったことが書かれています。

また、そういったことが守れているか確認する部署を設置してください、ということが決められているため、各社対応にバタバタしていますね。

 

このガイドラインが施行される前から、製薬業界においても自主規制で、少しずつ規制が引かれてきていましたが、本ガイドラインは厚労省から発行されているため、今までとは重みが違います。

 

 しかも、病院にMRの活動をチェックし、厚労省に報告している医師がいるため、ドロドロの営業はしにくくなったできなくなっています。

 

このような環境の変化により、MRの働き方は大きく変わってきています。

(職種として、MRを選択すべき理由については、こちらの記事で紹介しています)

 

mr-source.com

MRの仕事(やるべきこと)

タスク

 

  • 自社製品に関する情報提供
  • 担当エリアのマーケティング
  • 割当てられた予算売上の達成

 

自社製品に関する情報提供

これが日々のメインタスクです。

先生に面会などでお会いし、自社製品やその領域に関する情報を先生に提供します。

例えば、「投与4週あたりから優位に効果が見られています」などのような話をパンフレットを用いて説明します。

他には、通常の面会以外に説明会というお昼休みなどの時間を借りて、プレゼンをすることもあります。

 

普段の面談で使用するツールとしては、紙媒体がほとんどで、iPadなどを支給するメーカーも増えてきているため、それらを用いるケースも増えてきています。

 

このように、メインタスクである薬の情報提供を日々するわけですが、情報提供ばかりができるのかというと、そういうわけには行きません。

人と人の付き合いであるため、毎回宣伝(薬の話)ばかり聞きたくないと思う方が大半です(たまに、しっかり学術的な情報提供を求める先生もいる)。

そのため、医療情勢の話や趣味の話など、様々な話題を織り交ぜることも必須です。面会前に今日はどういう話題から入ろうかなと頭を悩ませるMRも多いように思います。

安易に話題のニュースの話などすると、複数のMRと1日に面会する先生の場合は、その話は他社MRと複数回した後だったりします、、、経験あり。

 

このような雑談スキルは、開業医担当に比べて、病院担当のMRにおいては、そこまで求められていないように思います。

 

情報提供については、 月あたりの各製品の情報提供回数などが割当てられているケースもあるため、いかに効率よく訪問し、情報提供するかもポイントになります。

 

担当エリアのマーケティング

担当エリアの自社製品の普及・浸透の責任があるため、マーケティングプランが必要です。

どのような薬剤のポジショニングを目指し、どれぐらいのシェアを取るのかなどのゴールに対して、どこの施設で採用してもらい、持ち患者数からどれぐらいの患者さんに処方してもらえるかなどのプランを立てます。

 

もちろん、本社から「この薬剤はセカンドラインで使用してもらうポジションを取り、目標は〇〇%を目指します」といった指示が来ます。

この指示を担当エリアに落とし込み、より適したプランを立て実行できるかが、そのエリアのMRの腕の見せ所ですね。

 

エリアマーケティングについては、こちらで紹介しています。

 

pikopikopun.hatenablog.com

 

割当られた予算売上の達成

これに関しては、完全に営業です。

月あたりに達成すべき売上が割当てられており、半期毎もしくは1年通して達成率が見られます。これが自分の評価に直結するため、MRは達成すべくいろいろな策を講じます。

上司においても営業所・支店の予算達成のために、各MRに数字をやってこーいとなるわけです。

この数字がよければ、ボーナスはガッポガポです。

しかし、常々予算の達成のために、自社の薬剤が処方されるように日々活動していても、そろそろ締めがくるけど数字が足りてないとなるケースは多くあります。そんな時には、薬剤の購入元である病院の薬剤部や薬局などに追加の注文をお願いしに行きます。

通称「詰め」です。

大口先などに「今月〜本注文いただけないでしょうか」とお願いに回って、足りない分を補填していきます。薬剤師さんも月末などにMRがくると、詰めできたかと思う先生も多くいると思いますが、各社ざわざわと詰めてますね。

これをせずに目標が足りていないと、後々上司に「つめ」られます。 

 

(MRの1日のスケジュールについては、別記事でもっと詳しく書きたいと思うので、気になる方はそちらを確認してください。)

 

転勤の頻度

転勤

 

人生設計において、転勤の頻度は非常に重要なポイントですが、MRは転勤の頻度は高いです。転勤の頻度は人によってもばらつきがありますが、3年〜5年程度で転勤があることが多いです(中には10年ぐらい転勤がない人も)。

他の営業職の方の転勤頻度を知らないですが、MRは特に多い方に思います。

異動先のエリアについては、製薬会社はかなり多く営業所があり、いろいろなところに行くので、地方から都市部までどこに行くのかはわかりません。

地方かつ遠いエリアの担当になった場合には、1週間ホテル住まいで週末のみ家に帰るといったような方もいます(ホテル代などで稼げる場合も、、、)。

 

世帯を持っている人にとっては、転勤のタイミングで単身赴任となるケースも多く、一人楽しめる方と辛い方と分かれますね。全く家族に会えないのかというと、そういうことはなく、単身赴任の場合は月1〜2回程度、帰省費用が会社から出るところも多いため、心配はいらないです。

 

ちなみに、コントラクトMRや地域固定のMRも中にはあるので、MRをしたいが転勤は難しいとお考えの方は、この選択も要検討ですね。

MRの転勤事情は、こちらで詳しく紹介しています。

mr-source.com

 

MRの年収はいくらもらえるのか

給与

 

お待ちかねの、年収についてです。

はじめにお伝えすると、MRは仕事内容の割に年収は高いです。具体的になぜ高くなるのかをお話しします。

 

  1. 基本給
  2. MR手当(ないところも)
  3. 賞与
  4. 営業日当
  5. 住宅手当

 

1.基本給

MRの「基本給」に関してはそれほど高いわけではなく、「MR手当」を加えて若干高いかなという程度です。ただし、役職やグレードが上がるにつれて基本給もトントンと上がるので、結果としてボーナスも上げってくるため、年収も上がりやすいという感じです。

 

2.MR手当

 MR手当については、ない会社もあるようですが、基本給に2、3万円のってくることが多いように思います。

 

3.賞与【年2〜3回】

 MRは賞与が高いケースが多いです。賞与1回あたりは、基本給の2〜3ヶ月分で、それにインセンティブが乗っかってきます。成績が良ければ+100万ぐらい上乗せになるため、賞与だけでもかなり年収の底上げとなります。

そのため、賞与に影響の大きい予算達成に必死になるというわけです。

 

4.営業日当

営業日当については、MRにとって非常に重要な収入源です。

なぜかというと、営業日あたり2000円〜5000円程度もらえます。会議等の内勤日を除くと月当たり15営業日だとすると、

15日 × 3000円 =  45,000円/月
45,000円 × 12ヶ月 = 540,000円/年

しかも、大概の会社さんでは、給与とは別口座への振込で対応しているところがほとんどです。「奥さんには、この口座のことは黙ってる」というのもMRあるあるですね。

これを見て、奥さんにばれたことに対する責任は持てませんので、お気をつけください。

 

5.住宅手当

実は、これが一番大きかったりします。

転勤ありきの仕事であるため、会社から家賃補助として住宅手当があります。家賃に対して、1〜3割が自己負担となり、あとは会社が負担してくれるというものです。住む地域により、上限等が決められていることはありますが、かなり月々の固定費を抑えることができるのでありがたい制度です。

東京で家賃10万円のところに住んでいた場合、

【家賃補助なし】
100,000円 × 12ヶ月 = 1,200,000円/年
【家賃補助あり】
100,000円 × 0.3 × 12ヶ月 = 360,000円/年

年間で84万円も差が出てきます。

実際に使用できるお金がこれだけ変わってくるので、MRは余裕のある生活ができるというのも頷けます。

 

MRについて、あまり詳しく書いてあるサイトがなかったので、書いてみましたが、疑問解消になりましたでしょうか。

他にもMRについて書いていきますので、気になった方はご覧ください。